1月

なぜ東は角餅で西は丸餅を食べるの?全国いろいろな雑煮を紹介します。

皆さんの地域では、お正月に食べる雑煮にはどんな形のお餅が入っていますか。東北で育った私は雑煮と言えば角餅で、しかも私の育った地域では、なんとお餅をお椀から取り出して、くるみダレに付けて食べるというものでした。

そして大人になるまで(しかも実は最近まで…)、西側の地域では丸い餅が食べられているということを知りませんでした(汗)

お正月に食べられるお雑煮には、どういったものがあるのか解説していきます。

お餅の種類について


まず、お雑煮に使われるお餅ですが、地域によって角餅と丸餅と食べられる
お餅の形が異なります。


それは、岐阜県の関ケ原辺りを境に日本の東側は角餅、西側は丸餅と分かれるようです。


境界線近くの岐阜県、石川県、福井県、三重県、和歌山県の5県では2種類とも使われているところもあり、三重県伊賀では、花びら餅と言われるお餅を両手で挟んで平たくしたお餅が使われているようです。

なぜ、東と西側でお餅の形が違うのか

1.東側は武家文化の影響が強く、武士たちが戦の前にのし餅を食べて「敵をのす(倒す)」というゲン担ぎだったという説があります。

2.昔から丸い形をした鏡餅は神様の魂が宿ると言われ、丸いお餅をいただくことで、神様の魂を分けていただくと考えていました。江戸時代になると庶民の暮らしも豊かになり、庶民の間でもお餅が食べられるようになりました。

しかし、人口の多い江戸では餅屋が忙しく、一つ一つお餅を丸める余裕がなくなりました。そこで、板にのしたお餅を切って売ることで、大量生産をすることができて、それから角餅が関東周辺に広がっていったとも言われています。

東だけど丸餅、西だけど角餅の地域


山形県でも、酒田市や鶴岡市あたりの地域では、お雑煮には丸餅が使われます。日本海側の庄内地方は、北前船で栄えた港町で、江戸時代には西回り航路の起点でした。

そのため、京都や大阪などの食文化の影響が残っているためではないかと言われています。

また、岩手県一関市周辺には独自の餅文化があり、年間60日以上餅を食べると言われています。お祭りや様々な行事の度にお餅を食べるのはもちろんのこと、普段からもお餅をよく食べています。

筆者も岩手県南地域を度々訪れますが、道の駅や産直などへ行くと、ゴマ・あんこ・ショウガ・ずんだ・納豆など、様々なバリエーションのお餅が売られています。


この地域でも、お餅は角餅ではなく丸餅が主流のようです。

また、高知では角餅が多く食べられているようです。これは江戸時代に藩主の山内氏が土佐に入国した際に、角餅を食べる風習を伝えたという説があります。


九州の佐賀や鹿児島にも角餅の地域があり、これも藩主が水戸光圀や徳川家との交流があったためではないかと言われています。

お雑煮のお餅は焼く?煮る?揚げる?

東側の角餅が食べられる地域では、焼いてから煮こんで食べるところが多いようです。

丸餅の食べられる西側の地域では、煮て食べる地域が多いようです。

ただやはり、東と西の境目の関ケ原近辺の地域では、西と東のどちらの影響も受けているように思います。

下記の株式会社エイチーム引越し侍が2019年に行ったアンケート結果を見るとよく分かります。

引っ越し侍【最新版】全国ご当地のお雑煮の実態を大調査より

詳しくは、引っ越し侍【全国ご当地のお雑煮の実態を大調査】↓↓

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東京の一部地域では、塩コショウしたお餅を揚げてお雑煮にするところもあるようです。

そしてなんと、沖縄ではお餅の入ったお雑煮は食べないようです。大腸や小腸を使った中味汁(中身汁)という吸い物を、お正月に食べるようです。

鰹節で出汁をとり、中身と豚肉、きのこ、こんにゃくなどの具材を入れ、食べる時に、かまぼこ・生姜・あさつきなどを加えるようです。

雑煮の味つけは?

雑煮の味付けも、地域によって異なるようですが、全国的にお雑煮は、すまし汁で作るところが多いようです。

岩手県の沿岸地域では、鶏肉やニンジン、ゴボウなどが入ったすまし汁からお餅を取り出し、くるみをすり潰して醤油少々と、たくさんの砂糖を入れて甘くしたくるみダレに付けて食べます。

京都・大阪・和歌山では白みそが使われているようです。奈良や三重でもみそ仕立てのお雑煮です。


奈良、京都、三重の一部地域では、餅を取り出しきな粉にまぶして食べるところもあるようです。

島根県は岩のりの入った「すまし雑煮」を元旦に食べて、2日から「小豆雑煮」を食べる地域もあるようです。出雲地方はぜんざい発祥の地と言われていて、古くから神聖な儀式やお祝い事がある度に、小豆が食べられていたそうです。

まとめ

形・調理方法・味付けだけでなく、それぞれ地域によって使われる具材も様々です。ここでは紹介できなかった北海道の石狩鍋風お雑煮や、茨城の豆腐がベースになった真っ白なお雑煮など、全国にはたくさんの変わったお雑煮があります。

外出や旅行が制限されている今年のお正月は、自宅で全国のお雑煮を作って食べてみるのも良いかもしれません。