3月

卒業式の始まりは?袴を着る理由は?卒業式について解説します。

日差しや風が温かくなり、地からは植物の芽が出始め、春の気配を感じて心が弾んでくるこの頃、日本では各地で卒業式が行われます。

現在卒業式は、通常3月に行われており、一部の私立中学校や高校では2月に行われています。

高校の卒業式は3月上旬に行われることが多く、幼稚園や小学校、中学校では3月中旬に行われています。

始まりは明治時代

1872年(明治5年)に、日本で最初の近代的学校制度を定めた教育法令である学制の施行に伴って、各等級(学年)ごとに、試験修了者に対して、卒業証書を授与したことが起源になっています。

その後、明治10年代頃(1870年代半ば~1880年代)に現在のような独立した儀式として定着していったようです。

なぜ卒業式で袴を着るのか

日本では、卒業式に袴を着る風習が今も残っていて、卒業生の担任の先生や式で重要な役割をする先生たちが袴を着ることも多く見られます。

女子学生が袴を着るようになったのは、明治の中頃からと言われています。
もともと袴は、平安時代の十二単(じゅうにひとえ)の一部として身に付けられていました。宮中の女官服にも由来しており、きちんとした身なりの服装と考えられていました。

そのため、これが明治時代になると学問の場にふさわしい服装として受け入れられ、「女学生の制服」として、袴を取り入れる学校が増えていったようです。

また、従来の着物に帯というスタイルに比べて、動きやすいという機能面でも袴が制服として取り入れられたポイントだったようです。

定番の卒業ソング

むかしの卒業式の定番ソングと言えば「蛍の光」や「仰げば尊し」。

蛍の光は、デパートやスーパーなど、お店が閉店するときにもよく流れてくる曲です。

この曲の原曲は「Auld lang syne(オールド・ラング・サイン)」というスコットランド民謡です。

「Auld lang syne(オールド・ラング・サイン)」は「遙かな遠い昔」という意味で、歌詞の内容は旧友と再会し、酒を酌み交わし友情を確かめ合うというものです。

明治時代に、西洋の音楽が日本の教育でも取り上げられるようになり、「小学唱歌集」という日本で最初の音楽教科書で「蛍の光」が掲載されました。そこに日本語の歌詞がつけられて、歌われるようになりました。

蛍の光は別れの曲として日本では歌われていますが、もとの原曲で歌われている友情や友達との絆という意味では、卒業式にぴったりの曲ではないかと思います。

また、「仰げば尊し」の原曲はアメリカの「Song for the Close of School」という曲です。

「Song for the Close of School」では学校や級友との別れが歌われており、歌詞内容は「仰げば尊し」と似ているところがあります。

最近は、さまざまな人気の卒業ソングがあり、「蛍の光」や「仰げば尊し」が歌われることも少なくなったようです。

1991年に、埼玉県秩父市の中学校の教員が卒業する生徒たちのために作った合唱曲「旅立ちの日に」は、数々の卒業ソングを抜いて、現在も多くの学校で歌われているようです。

まとめ

コロナの影響で、卒業式がなくなったり、今までとは違った形の卒業式となった人も多くいると思いますが、その時感じた思いや経験したことが、これからの人生できっといつか役に立つ時が来ると思います。

忘れられない経験として心に残り、何十年と月日が流れた時にこんなことがあったなぁと思い出すことを願っています。

学校での楽しい思い出や辛く苦しい経験を胸に、また新たな場所での新生活を楽しんで欲しいと思います。